Understanding a Christian-Focused, Western-Style Education, Japanese

(This article in English: Understanding a Christian-Focused, Western-Style Education)

この小冊子は、クリスチャン・アカデミー・イン・ジャパン(CAJ)への入学に当たり、キリスト教に焦点をあてた欧米式教育をよりよく理解していただくために作成しました。CAJはアメリカのカリキュラムを用い、英語で教育を行っている学校です。この小冊子は完璧なものとまでは言えませんが、CAJの教育理念と、それがどのように他校と異なっているかという説明がいくつか含まれています。入学後に直面する様々なチャレンジをよりよく理解していただくために、この小冊子に書かれていることを子どもと共に話し合ってください。

下記に、CAJが適用しているキリスト教に焦点をあてた欧米式教育の重要な理念が10項目、加えて、子どもが学校でうまくやっていくために役立つ実践的なアドバイスがいくつかあげられています。

CAJのキリスト教に焦点をあてた欧米式教育

全科目、全分野において聖書、および、キリスト教に関する資料を用い、クリスチャンとしての考え方・視野を探求する。[edit]

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CAJの教育理念は、私たちのすべてと創造されたすべての場所は、神に属するという信仰に基づいています。生徒は聖書というレンズを通して世界を見るように教えられ、また要求されています。クリスチャンの教師は、この世(現実の世界)を避けて通るのではなく、ありのままを見るように生徒の手助けをします。この世は、神によって完璧なものとして創造されましたが、罪によって堕落しました(完璧なものではなくなってしまいました)。しかし、キリストによって贖われました。学校、仕事場、遊び場、礼拝の場など、どこにおいても、堕落したこの世のすべての面を回復する方法を学ぶために聖書が用いられます。クリスチャンでもノン・クリスチャンでもすべての生徒は、よりよい世界を目指して働くための力強い道具として聖書を用いるよう教えられます。この指導方法は、課外カリキュラム、課外活動にもおよびます。

  • 保護者へのアドバイス
    • 自分ひとりで聖書を読むように子どもを励ます。そして、聖書の話や教えを学ぶ時を共に持つ。
    • キリスト教の映画、音楽、文学、文化を通して、クリスチャンのライフ・スタイルについて学ぶように子どもの手伝いをする。
    • キリスト教的なことと一般的なことについて子どもと話し合う。私たちのまわりで起きていることがどういう意味を持っているか深く考えるように子どもを励ます。
    • 教会、教会学校、クリスチャンの青年グループ、キャンプ、行事に参加するように子どもを励ます。


生徒の全人格に焦点をあわせる。[edit]

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CAJは、生徒が大学進学という選択を持てるように育成することを目指す学校です。そのため学業面での成績が非常に重要視されます。しかしながら依然として、当校は、精神面、学業面、 社会面、情緒面、身体面という生徒の全人格教育に専念しています。欧米教育は生徒の教育において、ある一面が他の面より強調されるということのないようにバランスを保つよう心がけています。クリスチャンスクールは一人ひとりの生徒の才能を探し、神から与えられた賜物に尊敬の念を持ち、またそれを用いるよう教えます。私たちは、生徒たちが与えられた賜物の中で最大限の可能性を引き出すよう努力し、確固とした人格と指導力を育成し、グローバルなコミュニティーの中で生きていくことを学び、人に仕え、責任を負うことを学ぶよう生徒に促していきます。

  • 保護者へのアドバイス
    • 子どもに、スポーツ、ドラマ、生徒会、音楽といった課外カリキュラムの諸活動に参加するように励ます。
    • 子どもが参加する諸活動、パフォーマンス、大会などに出席することによって彼らをサポートする。
    • 子どもに与えられているユニークで特別な賜物、タレントを発見することができるように援助する。


高度な思考力を重要視する。[edit]

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学習する上では、内容を暗記することは常に求められることですが、それよりも調和を保ち、教材を総合的に扱い、応用することが欧米教育においては強調されています。生徒がある情報や知識を思い起こす力をもっていることは大切ですが、それよりもじっくりと物事を考えるという力をもつことのほうがはるかに大切です。情報を問題解決に巧みに扱うこと、また情報を実生活の中で応用することも強調されています。欧米教育では、生徒がどれくらいの知識を持っているかということではなく、問題を解決するために、どこで必要な情報を手に入れ、得た情報の妥当性や実用性を識別し、その知識を問題解決に応用することに重点がおかれています。

  • 保護者へのアドバイス
    • 子どもが幼いうちから、家庭で問題が起こったとき、あるいは宿題をしていて問題に行き詰まったとき、最後まで考えるように励ます。
    • 簡単なパズルやマインド・ゲームなどを、家族が一緒にしたり、一人でさせたりする。


保護者にチームの一員として教育過程に積極的に携わってもらう。[edit]

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キリスト教教育を行っているCAJのような学校では、一人ひとりの子どもの教育に関し、教師と保護者は、共に働くチームとして考えられています。教師は、すべての生徒が良い成果をあげることができるように保護者の援助を求めています。教師に迷惑がかかるのではないか、あるいは子どもの成績に悪影響を与えるのではないかという心配はせず、保護者は教師と頻繁にコミュニケーションをとるべきです。教師と保護者は、懇談会やPTA(Parent-Teacher Association)を通して、また芸術活動鑑賞やスポーツの観戦に参加し、連絡を取り合うことができます。保護者、教師、生徒間の強い結びつきを育てていくためには、生徒が彼らの健康面や日常生活において、毎日しっかりと責任をもってくれる保護者、親戚、または、特別に大切な人が援助を必要としているということを、保護者が理解することが大切です。このために、CAJでは、生徒が一人ないしそれ以上の保護者と一緒に住むか、学校長が認可する下宿・寄宿先に住むことが求められています。欧米の学校では、Eメール、手紙、ニュース・レター、カレンダー、電話などで保護者と連絡を取ります。保護者は家庭において、責任をもって子どもたちの学習や活動に対して、彼らを励まし支えて行くことが望まれています。時として保護者の方が、ある特定の学校の職員(例えば、教師、サポート・スタッフ、管理者側など)の行動に疑問を持ったり、誤解したり、失望したりするようなことがあるかもしれません。欧米の教育主義にのっとって運営されている学校では、問題解決に取り組む際、適切な手続きに従うこと、また学校組織の秩序に従っていただくことが非常に大切です。問題がある場合は、可能な限り、まず当事者同士で話しあってください。問題面に関しては、何が事実なのかをはっきりと究明するために、お互いの言い分をよく聞いて話し合ってください。それでも問題が解決しない場合は、仲介者として校長もしくは他の管理者に連絡を取ってください。それでも解決が得られない場合には、学校長に連絡を取ることになります。これはマタイ18章に概説されている聖書的で健全な解決方法を反映しています。

  • 保護者へのアドバイス
    • 子どもに学校生活、勉強の進み具合について頻繁に質問をすること。宿題は常にチェックすること。学校生活における子どもの努力や成果をほめる。
    • 毎年行われる保護者・生徒・教師の懇談会に全て出席し、質問または心配事がある時は、教師や管理者とコミュニケーションを取ること。
    • PTAに積極的に出席すること。CAJのPTAは、組織や運営の仕方・内容についても、また、保護者に求められていることについても、多くの日本の学校のPTAとは異なるところが多い。詳細については、CAJホーム・ページを参照。
    • バック・ツー・スクール・デー、コンファレンス、スポーツの行事、コンサート、劇、遠足、PTAのミーティングや行事に参加することを通して、援助の姿勢を示すこと。
    • 学校、および、教師と明確にコミュニケーションが取れるようにすること。ある家族にとっては、学校と家庭の相互の連絡事項を翻訳しなければならないことを意味する。


不適切な行為を正し、公平で一貫性のある躾を行う。[edit]

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欧米教育では体罰はしません。躾は教育のためにされるもので、決して生徒の体を傷つけたり恥をかかせたりするために用いられるものではありません。CAJにおける躾は、正当性と恵みというキリスト教の信条にのっとって行われます。CAJのような欧米主義の学校では、教師と管理者側が保護者と共にチームとして働き、子どもたちに適切な行動をもって指導することだと理解しています。生徒を躾る上で、公平で一貫性を持つことは非常に大切です。

  • 保護者へのアドバイス
    • 教師と管理者側が生徒に躾を必要とする時は、保護者は彼らを援助する。
    • 子どもとは頻繁に話し、コミュニケーションを常に保つ。学校生活、友だちについて話す。
    • 保護者と生徒はCAJ生徒ハンド・ブックに書かれている校則を一緒に読み、よく理解する。


実現可能な目標を設定し、達成し得る成績を目指す。[edit]

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多数の卒業生が欧米の大学に進学するCAJのような学校では、成績はもちろん大切です。しかし、数字や文字で表わされた成績を重要視し過ぎることは、生徒に過度のプレッシャーをかけ、真の学びを犠牲にし、不健全な状況を作りだします。協力し合うこと、リーダーシップ、誠実さなど、ライフ・スキルは成績よりはるかに大切なことです。欧米教育は成績にあまり重点をおかないようにし、学ぶ喜び、また自分のベストを尽くすように心がけます。キリスト教教育は、一人ひとりに与えられた賜物、また、才能を使い、神を賛美する道を探るように(自分に与えられた賜物、才能をどのように使ったら神を賛美することができるのかと、探求するように)生徒を励まします。独創性と創作力は必ずしも成績の平均点(GPA)に反映されるとは限りません。しかし、人生の上でそれらは常に大切なスキルとなります。学ぶということは、やりがいのある活動であって、ただ単に「良い成績」をとるだけではないと認識するべきです。CAJは、生徒が生涯を通じて常に学びたいという向学心をもつように育んでいきたいと思っています。

  • 保護者へのアドバイス
    • 良い成績をとった時は、ほうびや報酬を与えるが、プレッシャーをかけ過ぎないように注意する。
    • どのような成績であっても子どもが最善を尽くしたと保護者と教師が判断した時は、怒ることや叱るようなことは避ける。子どもたちのなかには、学校生活の後半になって、学業やその他の活動において、才能が引き出され、やる気をおこしたりする子どもたちもいる。
    • 子どもたちのなかには、学校生活のなかで学習面以外の他の分野で他の子どもたちより秀でていたり、神から特別な才能が与えられていることを保護者は心に留め、その努力をほめことを心がける。

多様な評価手段を活用する。[edit]

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CAJのような欧米主義の学校では、評価は様々な違った方法を用いて行われます。評価は、頻繁に行われ、一度のテストのみで生徒の学習成果を判断することはしません。これは、欧米教育では単に筆記試験だけではなく、口頭試験、ケース・スタディー、ポートフォリオ、プロジェクト、発表などの評価も含みます。一度の試験だけが、成功の度合いをはかる唯一の基準となることはありません。同じく、次の学年や高等学校への進級も一度のテストの点数ではなく、修得単位、全ての成績に基準をおいていることも留意すべきです。さらに、多くの北米の大学に志願する際にも、成績、試験の点数だけが合否の判断の基準にはなっていません。多くの北米の大学は、試験だけに頼ることはありません。推薦状や課外活動や学生生活での色々な活動歴も、北米の良い大学に入学するためには大切な条件となっています。

  • 保護者へのアドバイス
    • ただ単にテストで良い点を取るために勉強するのではなく、与えられるすべての宿題、課題も大切なことであると子どもに認識させ、励ます。
    • 子どもの学習状況を念入りに観察し、一回のテストで失敗しても落胆しないように助ける。
    • 子どもが勉強で困っているなら、その旨を教師に敏速に伝える。

実現可能な志望校選択のプロセスに重点をおく。[edit]

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|thumb|right]]欧米教育システムは、名門校に選ばれるよう生徒を養育するだけではなく、大学で良い成果をあげることができるように生徒たちを導いていくという目的を持っています。CAJは、生徒と保護者と共に実現可能な目標をたて、名声より、教育と学問に重点をおくように指導します。特に大学のレベルにおいては、クラスのサイズ、学生総数、卒業率、授業料などに匹敵しているか、レベルの高い授業を受けることができるかということを見極めることが非常に大切な要素となります。CAJは、生徒が志望校に入学できるように最善の努力をしていますが、欧米教育システムは、高校を卒業したすべての生徒が四年生大学に入学する能力、適性を持っているとは限らないということを把握しています。四年生大学よりも短期大学やコミュニティー・カレッジのほうが良い成果をあげることができる生徒もいます。また、大学進学ではなく、他の進路を選択するほうが適している生徒もいます。

  • 保護者へのアドバイス
    • 学校のガイダンス・カウンセラーと相談し、大学のパンフレットとハンド・ブックに記載されていることをチェックし、Navianceガイダンスソフトウエアーを詳しく調べてみることなどを子どもに勧める。
    • 志望大学について早めに調査を始め、もしアメリカ国内、あるいは、志望校のある国に居るなら、大学の見学に行く。
    • 学校のガイダンス・カウンセラー(大学進路指導者)が主催する大学のワーク・ショップに出席する。
    • 保護者と子どもが家族ぐるみで選択肢について話し合い、経済的なことも含めて実現可能な目標をたてる。

授業は英語で行われるので、学業に良い成果をあげるために高度な英語力が要求される。[edit]

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多くの欧米教育システムの学校の授業は英語で行われ、すべての生徒に英語力が求められています。CAJは、英語で授業が行なわれている学校で、英語が母国語でない生徒のためのプログラム(ESL)を支援し、限られた英語能力を伸ばすために、英語を教える語学学校ではありません。CAJでは、多言語使用の様々な有益性の価値を尊重し奨励しますが、CAJの生徒は、学校にいる間は一日中英語の環境に置かれます。これは、生徒に求められている英語での読む・書く・話す・聞く能力を生徒が十分に習得できるように力を貸すためです。英語を母国語としない生徒のために限られたプログラムは、これらの能力を習得するために援助します。生徒は、学習成果をあげるために能力と強い学習意欲の両方を実証しなければなりません。CAJの生徒は、常に英語での教育を受けています。もし生徒たちが学校外で長期の休み中以外に、塾や補習校のような集中的に学習を進めている場所に通っている場合、その生徒たちの多くは成長しません。

  • 保護者へのアドバイス
    • 小さい子どもには母国語と英語の両方の本を読み聞かせ、大きな子どもにはフィクション、ノン・フィクションなどの英語の本を趣味として読むよう勧めること。CAJの図書室にはオーディオブック、フィクション、研究のための資料などの多くの英語の本、資料があります。
    • 言語習得を補うために、家庭でできるだけ英語を使うこと。
    • 英語のソフトウエアーやオペレーション・システムがついているコンピューターの購入を考える。
    • ESLの新入生徒は、CAJ・ESL・サマー・プログラムへの参加が勧められている。
    • サマー・キャンプ、SSSプログラム(ウェブページ参照)、旅行などで、英語の環境につかる機会を求めて行く。
    • 学年度中は、CAJ以外の多くの時間、また、多くの宿題が要求される塾などに入会するべきではない。

生徒の個人的世界観を育成し、その世界観を一貫して用い生きていくことに重点をおく。[edit]

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私たちの使命声明の真髄は、私たちがキリストのために世界にインパクトを与えるよう生徒を養育することです。CAJの生徒は、世界を学び、自分が何を信じているか、どのように対処するか、そしてどのように生きるかということについて、見識ある判断をするよう挑まされます。クリスチャン、あるいはクリスチャンでなくても、すべての生徒は、信仰、証し、道理にかなった理由をもって、自分の信じることを明確に話し、抗弁できるよう求められています。生徒は、奉仕活動、アウトリーチ・プログラムに参加し、私たちに与えられているもの(才能)を自分の中に留めることなく、それをいかに使っていくかということを勧められています。

  • 保護者へのアドバイス
    • 子どもが何を信じているか、また、なぜそれを信じているかと定期的に尋ねる。
    • 子どもが信じていることと行動が一致し、また高くもっている基準と一致する行動をとるよう挑ませる。
    • キリスト教についても、宗教には関係ない一般のことについても、子どもと話し合う。彼らの周りの世界で起こっていることの意味について深く考えるように勧める。


謝辞

このパンフレットは、マレーシアのダラト・インターナショナルスクール、韓国のテジョン・クリスチャン・インターナショナルスクール、および、クリスチャン・スクール・インターナショナルによって発行されたパンフレットの抜粋から広範囲にわたって引用されています。引用された資料はすべて許可をいただいております。両校の保護者、スタッフ、専門コンサルタントの方々、また、CAJ用に作成するに当たり、修正に貢献してくださった保護者の方々とCAJ職員に心から感謝いたします。