文化的理解の橋を築く
06/02/2021 10:17
ネイト・ギブソン、11年生人文科学担当、社会科部長
旅行制限が1年以上続いていますが、 私は大きな空港の運営について考えてみて理解を深めました。ちょっと考えてみてください。2018年には約8700万もの人が、羽田空港を利用しました。1年間に「旅行者」という共通項を持つ8,700万もの人が、様々なパスポートを手に、ほんの一瞬かもしれませんが、同じフロアを歩いたのです。羽田空港のようなハブは現代の驚くべき空港の一つとして、もっと評価されるべきだと思います。
CAJを訪れる人々の数はもちろん羽田空港より少ないのですが、CAJは文化的なハブとして羽田と似たような役割を果たしていると思います。私たちのプログラムや年間予定はアメリカの学校と類似しています。異なるのは、私たちのクラスルームは様々な文化や国籍をもつ生徒や教職員が互いに出会う場所となっていることです。CAJのキャンパスは、世界でも有数の大都市の主要鉄道路線のすぐそばにあるのです。
では、羽田の国際線ゲートと私たちとの違いは何でしょうか?たまたま同じ飛行機に搭乗することになった旅行者が、束の間に集う搭乗口への中継点が私たちなのでしょうか?いいえ、まったく違います。教室の中であっても外であっても、私たちはコミュニティーに存在する多様な文化を認め、それらを互いにつなげる努力を惜しまない学校でありたいと願います。そのために、共感する、つまり相手の立場に立って歩むことを教える努力を最大限にしています。開放的で真摯な議論をする努力を最大限に提供しています。そこには幅広い視点が机上に取り上げられます。教室で学んだことと、実際の世界で起きている問題との関連性を見出す力を得られる努力を最大限に提供しています。
現在、11年生は、今のパンデミックに呼応する二つの奉仕プロジェクトを実施しています。一つのグループは東久留米市と共同で、医療従事者を励ますためのアートのディスプレイを作成しています。作品を東久留米市役所に展示できたらと願っています。もう一つのグループは鬱、不安障害、そして自殺などの精神問題を多くの人々に知ってもらう取り組みをしています。具体的には、TELL Japanという組織のために資金を集め、啓蒙活動をしています。この組織は、日本に数多くある国際的コミュニティーを対象に、増加しつつあるメンタルヘルス問題に効果的なサポートとカウンセリングを提供しています。3月の初めの人文科学のクラスでは、生徒たちが発表しただけに過ぎなかった提案が、どんどん具現化するのを目にすることができました。教師として、みょうりに尽きることでした。
もちろん、途中の過程では問題が発生しました。例えば、委員会と分科会の役割の違いが不明瞭なために発生した混乱。プロジェクトを通じて何を達成したいのか、そのビジョンをめぐる意見の相違。チームとして共同作業をしていくときに生じるチャレンジや衝突などです。このような教育機会を意図的に計画し、関連性を促していくことは、さながら国際空港の設計図を描くように難しいことでもありました。誤解やミスコミュニケーションは起こります。それでもチャレンジをくぐり抜けて先に進むために生徒たちを教え、導くのは容易ではありません。それでも最終目的地点にたどり着くと、旅行の過程がどれだけ大変であっても、その大変さを忘れさせる価値があります。私たちが様々な国や文化にまたがる関連性をつなげようと努力するのは、そこに私たちが信じる神のご性質を垣間見ることができるからです。三位一体の神は違いを愛しておられます。神が描く色は無限です。